ベッドに俯いてぐっすり寝ていた浩は、何か音がするな!? うるさいなあ!と感じながら少しずつ目覚めていった。
そして顔を上げると見慣れない家具が眼につき、直ぐガバッと起き上がって此処は一体何処だ? と思ってベッドに座り込み周りを見渡した。
ベッドサイドに有る金の扇をプリントしたメモ帳を見て一瞬で思い出し、そうだ! グリーングラスホテルに居るんだ、と思った時、ドアをノックする音が耳に入った。
浩は思わず、
「はい!」
と返事するとドアの外から
「朝早くすみません! 実は京葉線で倒れた男の同僚の者ですが、お部屋の中に同僚の男のブレスレットが有るという信号を受け取ったものですから、何らかの事情をご存じと思い伺いました。私は秋山良と申します」
と答える声がした。
浩は、吃驚して床に転がっているブレスレットとブリーフケースを見た。そうだ! ピストルで撃たれた確認をしてそのままだったんだ! 浩は不味いことになった! と思ったが一方で死んだ男の同僚と聞いて、何故かホッとした。
浩は直ぐ扉へ行きドアスコープを覗いた。
廊下には身綺麗なジャケットを着た三十代の若い男性が立っていた。浩は今迄見た角刈りの男性と雰囲気が全く違うのを確認し、一応ドアチェーンを掛け、ゆっくりとドアを少し開けた。
良は、ドアが開くと、目の前の男は自分より少し若い感じの面白そうな男だなと感じ、
「秋山良です。朝早くに突然すみません!」
と断った。
浩は、身綺麗でエキゾチックな顔立ちのハンサムな男を見て、昨日までの男の仲間ではない、と感じて、チェーンを外した。
良は、若い男が脇を空けるとゆっくりと部屋の中へ入った。