【前回の記事を読む】「リュックに小さい穴が空いていますよ。お気を付けください」一体何の穴だろう? 見ると何か転がり落ちてきた…ピストルの弾だ!

第一章 浩、狙われる!

集中治療室に移った丸田は、未だ予断を許さない状態だった。

心臓の動きを強くする薬に加えて空っぽになった胃の代わりに点滴で栄養剤が身体に送り込まれている。

集中治療室前の長椅子に座って目を瞑り、少し寝ていた良のスマホが又チンチンと二度音を出した。

良はその音で覚醒し直ぐ立ち上がって、非常階段のそばでスマホを確認すると、USAのスターファイブCoからの連絡メールが入っていた。

丸田のブレスレットが再び反応し、現在、日本橋のグリーングラスホテルに有り、と出ているので至急状況を掴むように!との連絡だった。

良は、途中で所在不明になった丸田のブレスレットに今度は何が起きたんだろう、と思った。丸田のそばに居ても何の役にも立たないのは承知しつつも、特にやることも無く座っていた良のパワーに火が付いた。

「よし!」

此れから直ぐにグリーングラスホテルへ向かおう!と急ぎ足で深夜を過ぎている東京国際病院の廊下を静かに進んで、非常用出口を抜け、築地駅の有る大通り方面へ走った。

丁度来たタクシーを停めて乗り込み、グリーングラスホテルへ向かった。

グリーングラスホテルの車寄せに着いて、タクシーの支払いを終え静かなこじんまりしたホールへ入った。

受付台に立っていたボーイが何か?というような顔をして、

「お泊りですか?」

と聞いてきた。泊まるにしても余りにも遅いので不思議そうな顔をしていた。

良は、「急だけど一~二泊したいので部屋は空いていますか?」

と聞いた。

ボーイが直ぐホールからフロントへ電話をして様子を聞き、電話口を押さえると、

「お部屋をご用意出来ますのでお名前を頂けますか?」と問われ、

「秋山良!」と答えた。

ボーイはそれを受けてフロントへ、

「秋山良様です」と伝え電話を切った。ボーイから、

「お荷物は?」と聞かれ、良は手を広げ、

「特に無い」と答えた。

ボーイは直ぐ脇のエレベーターホールの方へ向かい、呼び出しボタンを押すとエレベーターが開き、中へ入ってロビーフロアを押し、

「ごゆっくり!」

と言ってエレベーターを出た。