第一章 浩、狙われる!
中央通りを通って日本橋を過ぎ、日本橋四井タワーの角を曲がり、グリーングラスホテルの車寄せに着くと直ぐドアマンが寄って来て、タクシーのドアを開けてくれた。
こじんまりしたホールへ入ると、ボーイが、
「田賀様でいらっしゃいますか?」
と聞いてきたので、
「そうです」
と答えた。
「お荷物をお持ち致します」
と言って、背負っていたリュックを示したので、下ろして手渡し、身軽になったことで少しホッとした。
そのままそばの豪華なエレベーターに乗り、高層階に有るフロントへ案内された。
浩はフロントで、
「先程、お電話した田賀浩です」と告げると、
「お待ちしておりました、田賀様」
と言って、フロントマンが宿泊カードを示し、
「お名前とご住所、ご連絡先をお願い致します」と言った。
浩が記載して戻すと、
「お部屋は、四十三階の4311号室です。もう遅いので食事のご用意はルームサービスならお受け出来ますが、如何なさいますか?」
と聞いてきたので、
「大丈夫です、結構です」
と言って断った。