【前回の記事を読む】あいつのタンメンに毒を混入させることに成功。これで仮死状態にできるはずだったのに…
第一章 浩、狙われる!
浩が、
「私の知人が地下鉄戸越駅そばで材木の卸しをしています。先ず店へ行って、材木の端材が幾つも積まれている端材置き場から、頼み込んで重くてやや大きめの端材を五~六個分けてもらいます。
それを網に入れて、入口を入った天井に吊るし、不審者が入った時に網ごと落とすのです。そして入口には手品で使う摩擦係数0の凄く滑り易いゼロマットを置いて、足を踏み入れた途端、滑って転ぶように工夫したいと思います。如何ですか?」
良は、聞いた話の状況を頭に浮かべ、じっと考えた。
「私はそのマットを良く知らないので、仮に上手く滑ったとしてどのように倒れるかが気になりますね! そして上から落とす端材に先に気付くと不味いですね!
でも私は浩さんのお宅の様子を全く知りませんから、浩さんお考えのプランで行きましょう! 不審者は間違いなく近くまで来ていますから急いだ方が良いと思います」
「私は丸田の様子を見たいので病院へ寄って、一時間ほど遅れて五反田の方へ向かいます、浩さんの自宅の場所を教えてください」
浩は、直ぐ自宅の住所をホテルのメモ用紙に書くと共に、簡単に駅からの地図をメモり手渡した。
「では早速此処を出る用意をしましょう。私も一旦部屋へ帰って、直ぐ戻って来ますので浩さんは此処で準備を終えて待っていてください」
と言って出て行った。
浩は、直ぐ着替えて出る準備を終えた。すると良が戻って来て、
「では行きましょう! ブリーフケースとブレスレットは今迄通りリュックの中へ入れて自宅までお持ちください。私が、着いた後でブリーフケースとブレスレットから信号が出るようにします」と言った。
そして、
「私が、フロントへ電話して、どうしても会いたくない人が居ると話し、上手く会わないで一階へ行く方法を聞きました。このフロアにプライベートと書いてあるドアを開けた所に一階へ直通の荷物用エレベーターが有るそうです、念の為にそれを使って、誰にも会わないように一階へ降りましょう!」
と言った。
更に、
「部屋は明日までこのままの状態にしておきましょう!」
二人は直ぐ部屋を出た。廊下を進んだ先にプライベートと書かれた扉が有り、其処の内鍵を回すと軽く開いて、荷物用エレベーターのホールへ出た。
ボタンを押し、少し待つとエレベーターがやって来た。誰も乗ってないのを見てホッとしながら一階へ降りた。