【前回の記事を読む】僕はただ立ち尽くしていただけなのに、感謝状をもらった――狼男と一緒に
第二回 再会
二〇一三年
「はい、お待たせ」
なっちゃんが、オムライスを僕と彼の前に置いた。
「いただきます」
言うと同時に、神八太郎はオムライスを勢いよく口の中へ放り込む。つられて僕も、いつもの倍の速さでスプーンを口に運ぶ。
付け合わせのスープを一気に飲み終えると、神八太郎は、「ごちそうさまでした」と手を合わせた。その様子を横で見ていたふくちゃんが、太郎に話しかける。
「光の話を聞いて、どんな子かと思っていたけど、きちんと挨拶できるし、食べっぷりもよくて気にいったわ」と言いながら、いきなり太郎の頭を撫で、顔を覗き込んだ。
「愛嬌のある顔ねえ」
愛嬌のある顔とは、褒め言葉にしてはちょっと微妙だ。
「ふくちゃん、子供じゃないんだから」
固まっている太郎の顔を見て、僕は慌てふためく。大人しくしてはいるが、狼男のイメージが頭から離れない。人に触れられた途端に暴れ出しそうだ。
だが、僕の心配は無用だった。太郎の耳が赤くなっていくのを見て、彼が照れ屋で純粋な普通の高校生だと分かったからだ。
そして初めて見る、照れた彼の表情にも、確かに見覚えがあった。前世で僕を守ってくれた、あの太郎だと。ふくちゃんは、尚も彼の顔を覗き込む。
「あなた、歳はおいくつ?」