「十八歳です」
彼はぶっきらぼうに答えた。
「あら、光より一つ上じゃない。この子は友達がいないから、太郎くん、友達になってくれないかしら」
太郎が、ちらりとこちらに目を向ける。目が合い、僕の鼓動が早くなる。
「ふくちゃん、無理強いしたら太郎くんに悪いよ」
そう言いながら、彼の顔色を窺う。本当はもっと彼と親しくなりたかった。人の前世が視えるせいで、今まで人を寄せ付けようとしなかった僕の、初めての感情だった。
「いいよ」
彼が、ぼそりと声を出した。
「まあ嬉しい。やっと光にも友達ができたわ」
ふくちゃんが大げさに手を叩き、嬉しそうに微笑む。
「いつでも遊びに来てね。オムライスもご馳走するわよ」
ふくちゃんに肩を叩かれ、神八太郎は頷いた。僕は彼と友達になれた喜びで、気持ちが舞い上がった。心臓が早鐘を打つ。
長年の片思いが実った時とは、こんな感情なのだろうか。彼に対しての複雑な思いが、こみ上げてくる。初めての心情だった。
その後、ふくちゃんの質問攻めで彼のことを知ることができた。隣町の工業高校に通いながら、ジムでバイトし、一人で暮らしていること。六歳の時に父親が亡くなり、母は再婚し離れて暮らしていること。
彼が淡々と話している間、ふくちゃんは涙を拭いながら聞いていた。五歳で母親を亡くした自分と重なり、ひと事とは思えない。
なんとか彼の連絡先を聞き出せないものかと考えていると、ふくちゃんが強引に連絡先を聞き出してくれた。ふくちゃんに感謝である。神八太郎は、また来ると約束して、帰っていった。
体を揺すられ、眠い目をこすりながら起き上がると、真っ黒に日焼けした父がいた。