はじめに
リモートワークを導入する企業が増え、家で仕事をする方が多くなってきています。子育てをしている親からすると、子どもと接する時間を確保できる素晴らしい機会であると言えます。
しかし、これまであまり育児をしてこなかったパパたちからは、「どのように対応すればいいのかわからない」という声を多く耳にします。
ある主婦は、「主人がリモートワークで家にいるのは、かえって困る」と言います。2007年頃からイクメンという言葉が使われ始め、男性の育児参加がもてはやされてきましたが、まだまだ、女性が育児・家事を主に担当する状況は変わっていないのが現実です。
なぜパパの育児参加がうまく進まないのでしょうか。本書では、パパの子育ての取り組み方について実例を挙げながらわかりやすく紹介しています。
かく言う私も、決してスーパーイクメンではなく、ソニー株式会社で働いていた頃は、夜遅くまで残業することが多く、長女の保育園の送り迎え、食事の支度、家事のほとんどを妻に任せていたダメダメパパでした。
そのような中、大きな転機が訪れました。長女が2歳だった時に、私が精巣がんになったのです。精巣がんは転移のスピードが速く、しかも、リンパに転移していたため、非常に危険な状態でした。
それでも、病気と闘う決心をし、抗がん剤治療を受けました。2人目の子どもは障がいを持つリスクが高いため、諦めるように言われました。
抗がん剤治療は、想像を絶する厳しい治療でした。髪の毛は抜け、爪も剝がれ、辛いときは立って歩くこともできず、トイレへ這って行くような生活が続きました。
治療の副作用で左耳も聞こえにくくなり、突発性難聴という難病と診断され、今でも左耳に障害が残っています。
しかも、高校時代から潰瘍性大腸炎という難病も患っていたため、辛い時期を過ごしましたが、妻をはじめ、多くの方に支えていただき社会復帰を果たすことができました。
会社に戻ってからは、順調な生活を期待していましたが、体力が思うように回復せず、これまでのような仕事がこなせない苦しい日々が続きました。