はじめに

二十一世紀になって二十二年が過ぎた。

十年一昔が五年一昔になり社会は目まぐるしく変化している。変わったと感じたことを簡単に羅列してみると、高齢化社会から超高齢社会になり、疾病構造が変化して認知症、骨関節疾患、廃用症候群、心臓病、慢性腎臓病、肺炎、白内障が増加した。

介護保険制度が発足して高齢者関連施設が増加し専門職ができた。独居高齢者が問題となっている。

地域で高齢者を守るため多職種参加による「地域包括ケアシステム」の推進を目指しているが、エッセンシャルワーカーの不足が問題になっている。

「地域完結型医療」のため病院機能の分化と統合、再編がおこなわれている。医療提供体制が細分化し、メンタルクリニック、眼科、皮膚科(美容皮膚科)、整形外科、在宅療養支援診療所、歯科が増え、小児科、外科、産婦人科が減った。

医療施設のコマーシャルが目に付くようになった。生活様式の変化で「生活習慣病関連疾患」特に糖尿病、高脂質血症、肥満が増加した。

健康志向、アンチエイジングの世の中で、ウオーキング、ランニング、スポーツクラブ利用者が増えた。健康食品やサプリメントのコマーシャルがTVから姦(かしま)しく流れている。

科学技術の飛躍的な進歩により、あらゆる病気の治療成績が向上している。「デジタル社会」でホームページから医療施設、治療法を選択できるようになった。

倫理の遵守が重要視され、顧客満足度が問われる時代になった。医師が親切で優しくなった。

スマホが普及し世界中が繋がった。公共の乗り物の中が静かになった。新聞、雑誌を読む人は希少になった。歩行中、食事中やトイレで見ている人もいる。

こうなったら中毒状態で「スマホ脳、視力低下、子供へ影響」が問題視されるようになっている。

世界の人口は八十億に迫っている。自然環境破壊、格差、貧困、食料・水不足が顕著化している。わが国は人口減少時代に突入し小さな自治体の存続危機がいわれている。

他の先進国でも高齢化が進んでいる。世界中で、水害、森林火災、干ばつ、地震、竜巻、巨大台風、火山噴火など大型自然災害が増えた。

地球温暖化、線状降水帯という言葉が身近になった。われわれの施設も、最近の三年間で水害を二度経験し環境の変化を実感した。温暖化の原因として「人為的説」と「自然気候変動説」が議論されている。