人類へ捧げる

宇宙における神の最高の創造物

序文

“宗教”の概念―それは難解であり、興味をそそる問題である。今日、人類は大きく分けて二つのグループに分けられる。

神を信ずる者と信じない者。我々はこの世に住み、万事がそのなかで起こっているというのに、我々の多くはこの世の創造物について考えることは殆んどない。

この世界、即ち宇宙には、天、空、地があり、万物―見えるものと見えないものがある。神を信ずるグループは男性女性全て、創造主は万物のために在すことを固く信じている(聖典に支えられて)。

宇宙の主は、宇宙と万物個々にそれぞれの目的を持たせてお創りになったことは、主自身が最もよくご存知である。

主は、イスラム教徒の聖典―コーラン―のなかで、人間と精霊は、ただ主を崇拝するためにのみ創られたと明確に述べている(称え、祈る)。そしてこの世の生あるもの生なきもの全ての創造物は、常に崇拝し祈りを捧げるよう主と契約を結んでいる。

高名な口腔医学者M.A.ハンナン氏によって編纂された本書、『全知全能の神(The Almighty)』は、イスラム教徒がアラーと呼ぶ宇宙の主からの多くの教えの章が引用されている。

これらの聖なる教えのなかには二つの意味が秘められている。即ち、(1)世界の平和と秩序。(2)(a)アラーの教えに従う者に対する来世の永遠の平和と尊厳、(b)不誠実な者に対する永遠の苦痛と火炎地獄。

私は本書『全知全能の神』の読者が、探究心を啓発し宗教の学び舎の扉を叩くことを期待する。一度この域まで達すれば今までの神秘に対する心の迷いは払拭されるであろう。私は本書が、この世でアラーに忠誠を尽くす賢明で探究心のある人の宝となることを望む次第である。

S.A.アシュラーフ(S. A. Ashraf)教授内科外科大学 前学長バングラデシュ(Bangladesh)

著者M.A.ハンナン氏は患者のために最高レベルの医療を施す歯科医師である。彼は、ダッカ市の私立歯科大学の設立に尽力し初代学長をつとめた。

ハンナン氏は成功を収めた人間として、人も羨む資産を蓄えているように思われるであろう。現実はそれとは違って、彼は己の職務に楽しく専念するのみであることを知った。

ハンナン氏は敬虔なイスラム教の信者であり、職業は人類への奉仕こそが神の望みに応える手段と考えている。これは何れの宗教にも共通している信仰の約束ごとである。

皮膚の色や人種を超えた人間の奉仕は信仰の基本である。ハンナン氏は小論をよく私のところに持ってきた。私は、貧しい人や社会的弱者に手を差し伸べるという彼の信条に心が惹かれた。

時が経つにつれ、私は彼の小論の内容に劇的な変化が生まれていることに気付いた。それは、熾烈な感動で表現された形而上学的内容にどっぷり浸かっていたのである。

この本は、神秘主義における哲学的神学的観点からみても素晴らしい学術書である。そしてハンナン氏の魂の叫びが表現されている。