【前回の記事を読む】【美樹編】毎日、彼の事を思う。会いたいけど怖い。――最後に会ったのは3ヶ月前、美樹は気持ちを切り替えようとしていたが…

第四章 運命の出会い

【美樹編】

「お願い止めて、仕事中よ」

「夕方待っているから、いいね」

「会社はダメよ。夕方六時にカッシュに必ず行くから」

「もし、来なかったら月曜日午前中会社に迎えに、いや、拉致しに行く!」

「わ、分かった。行くから」

ようやく、胸から離れてくれた。

「日曜日の夜まで一緒にいるから、いいね」

「分かった。行きます」

急ぎ、服を整えた。

「キスしたいが口紅が落ちるから我慢する。夜、たっぷりするから覚悟をしていてね」

ゾクゾクするような言葉がよく言えるから、不思議。契約は、ほぼ決めてくれそう。公私混同のような気もする。

山下君、

「課長、さすがです。良かったですね。やったー」と、喜んでいる。

複雑な心境。

夕方六時、カッシュに駅から走って六時ぎりぎりに着いた。涼真君がいた。

「安、ボックス席使ってもいいかな?」

「いいよ。店は七時から開けるから、ごゆっくり」

「ありがとう。美樹、ここに来て。まず、美樹は観念して欲しい。君は僕から逃げられない。運命なんだ。今日で分かっただろう。君だけを愛している」

「本当に十歳年上の私でいいの? 後悔しないの?」

「何度、言わせる。美樹しかいない」