その突撃風景に、あとから追っかけてきた昨夜の女たちが混じる。情景に血の香りが漂う。おいしい京料理は味がすかっとしている。

『カサブランカ』『アラビアのロレンス』『風とライオン』はバタくさい。

何という映画だったっけ。『望郷』でもない。外国人部隊の白い服はカラオケ『カスバの女』の画像だったか?

パリ・ダカールラリー。白人にとって地中海は輝ける海だ。その先にある北回帰線の熱い砂の壁に突っ込んでいく。このラリー仕様の公道走行用オートバイを手に入れたときの嬉しかったこと。だけど大破した。

このラリーは毎年正月に行われてきた。終わって久しい。地元が中止を申し入れた。もう白人には好き勝手をやらせない。

かつての奴隷貿易の拠点だったフランス領ダカールのゴレ島、フィリピンのスペイン領マニラにある星型要塞、インドの英領チェンナイにあるセント・ジョージ要塞は同じ緯度。ある冬の日の世界の気温は次の通り。

13時晴れ摂氏8度(大阪)

12時晴れ摂氏マイナス9度(北京)

12時曇り摂氏5度(上海)

12時晴れ摂氏29度(マニラ)

10時曇り摂氏29度(チェンナイ)

4時晴れ摂氏24度(ダカール)

カッと照り付ける真昼の太陽を反射して白く蒸せ返る砂浜。頬を流れ落ちる汗、その雫を右手の甲で拭いながらその向こうに見る青い空と海。人影がかげろうになって燃え立つ灼熱のダカール。セネガルの首都。西サハラのアフリカ大西洋岸にあった。

ここでは、「ブーン」というかすかな耳鳴りが消えて、降り注ぐ陽光の、「シャワシャワ」という音が耳に纏わり付いてくる。