この本で、高野さんは冒険家らしく、自らが体験した治療の世界を「腰痛ジャングル」と呼んでいます。この日本に〝未知の動物(UMA)〟ならぬ、さまざまな「未知なる治療法と自称治療名人たち」が棲む〝秘境〟があった!というわけです。

辺境冒険家の高野さんは「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをする」がモットーゆえに、あえて〝さまよった〟のかもしれませんが、同じような腰の痛みで少なくとも3、4箇所をめぐった経験のある患者さんは、世にたくさんいらっしゃるでしょう。

同書に登場する「民間療法の名人たち」はいずれも自分の治療法に自信を持っており、高野さんに熱っぽく自説を語ります。

しかし高野さんの友人は、治療名人の言うことは〝ラーメン屋のオヤジ理論〟だと断じるのです。

〝ラーメン屋のオヤジ理論〟とは、ひと言で言えば「自分の治療でよくなる患者はいる。だから自分は正しいのだ」という論理です。

高野さんは、治療名人たちについて「実際の成功率は3割程度では?」と冷静な(?)推定をしています。

しかし、「変わった人が好き!」という高野さんの性格によるのでしょう、熱く持論を語る民間療法の〝名人〟たちにはとても好意的です。