【前回の記事を読む】いじめ加害者女から花火大会に誘われ、「あの女が俺に振られた時にどんな惨めな顔をするのか見物じゃないか」と笑う元親友
眠れる森の復讐鬼
「県警から情報が入った。司法解剖の結果、石川嵐士の死因は低血糖性昏睡で間違いないようだ。あと、点滴ボトルやチューブに付着している指紋は一夏ちゃんのものしか検出されなかったそうだ。県警はやはり彼女をホシだと考えているようだ」
「一夏は絶対にやっていません」
「俺もそう信じたいが、証拠が揃い過ぎている。彼女がやってないという根拠が何かあるのかね?」
「いいえ、でも梨杏さんは指先まで包帯が巻かれています。それにあの火傷では指紋が検出されなくてもおかしくない」
「まだ梨杏のことを疑っているのかね」
「少なくとも僕が彼女を見たのは事実です。それにこの事件はおかしい。巧妙に殺人を繰り返しておきながら、明らかに一夏が疑われるように仕向けられている。きっと彼女に全て罪を着せるつもりなんです。犯人はあいつらに相当な恨みを抱いている。きっと次は高橋を狙ってきます」
「分かったよ。君がそこまで言うのなら今夜と明日は経子が帰った後、俺が梨杏の病室に泊りこもう」
「大丈夫ですか?」
「梨杏の無実を証明するためだからね。看護師さんには前もって許可を取っておくよ。それにやっぱり梨杏の側にいてやりたいんだ。退院したらもうなかなか会えなくなるからね」
金清は寂しそうな顔をして言った。