『お前はそう思っているらしいな』

「事実だ。既に『小人』と名乗る正体不明の犯人が二度も連絡をしてきている。一度は正午過ぎのゴンドラが落ちる瞬間、二度目は今しがただ。この計画は、おそらく正午がスタートで、タイムリミットまで十一時間を切っている。多くの課題があるが、時間がない。一時間に一基ずつゴンドラを地上に落とすと算段をつけている可能性がある。とてもただの脅しとは思えない」

『つまり、クリスマスイヴに、世間の注目を引く巨大観覧車を乗っ取って、予告型の殺人事件を引き起こしてるのか。乗客を人質に?』

それが本当なら、世間に訴えたいことがあるタイプだろうな、と貝崎は呟く。これには仲山も同意した。

「ああ。そして貝崎、何か身に覚えはないか?」

『どういう意味だ』

「『小人』はお前を名指しして要求をしてきている。お前の身近な人間かもしれない。よく考えてみてくれないか」

『馬鹿馬鹿しい。俺に旧怨(きゅうえん)がある人間なら、俺に関わりのある人間を狙うだろう。こんな回りくどいことはしない』

貝崎は呆れた声を上げる。仲山の指摘は全くの的外れだと思ったのだ。しかしながら、仲山はそこで引かなかった。

「ああ、お前に関わりのある人間はいる」

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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