あずみは、連絡の取れない真琴のことをあれこれ考えながらも、仕方なく自宅に戻るしかなかった。
真琴の家をあとにして自宅に戻ると、家の前に見覚えのある車が停まっていた。
あっ、あれは……!
真琴の車だった。こちらから出向かなくても、真琴のほうからやってきていた。あずみはすっかり拍子抜けしてしまう。
運転席に近づき、窓を小さく叩いてみた。
「あっ、あずみ!」
真琴は驚いた表情を見せ、車の窓を開けて言った。
「ごめん! 連絡できなくて!」
「ううん、実は今、真琴の家に行ってきたの」
「えっ!」
真琴は絶句する。やはり母親には内緒だったのだ……。
「あ、あの、ママは……なんて?」真琴は心配して尋ねてきた。
「うん。真琴は出掛けて留守だって言われた」
あずみは病院で真琴を見たことは黙っていようと思った。
「そう……」
「それで、わざわざうちにまで来てくれたのは、あの……今朝言っていた相談事?」
「うん。そうなの。それが……ちょっと長くなりそうなの」真琴は目を伏せた。
「あ、いいよ。うちに入る?」
「ありがとう!」
やはり真琴の自宅では話せない内容だからここに来たのだ。