前編
序
辺り一面が黄金色に輝いている。どこまでも続く甘美な世界。柔らかく流れる風、心地よいせせらぎの音。すべてが眩(まばゆ)く、すべてが安らいでいる。
私は大天使ラジエル。美しい永遠なる天界のすべてを記(き)する者。すべてが美しく、優しく包み込まれる新たなる天界(地球)に私はいる。
愛を囁(ささや)き、音楽を奏で、黄金色に輝く稲穂はそよ風に揺れている。川は穏やかに流れ、大地を潤し、生命を豊かに育んでいる。とこしえに続く安らぎの世界。
その姿を後世に伝え残すべく、私はすべてを書き留める。
私は、この栄華は永遠に終わることがないと思っていた。闇が歯車を狂わせさえしなければ……。だが私の思いは瞬く間に崩れ去った。事の顛末を私はここに記しておく。
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