俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.08.28 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第12回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 くっきりと爪のかたちをとどめたり 獣の姿を考えてゐる 春近くむれる牡鹿ら足爪に 雪かき分けて笹の葉を食む 人をらぬ野に牛むれて草を食む 果てしなき野を過りてゆけり
小説 『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰 【カフカの名作を大阪弁で!?】「グレゴール!まだ家におったんかいな。 どないしてん?」名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ!? それに列車に追いついたところで社長の大目玉は避けられん。なんせ使用人が五時の列車に合わせて待っとってグレゴールの遅刻をとうにチクっとるわけやから。こいつは社長のお気に入りやった、性根も頭もないくせに。それか、病気や言うたらどないか? いやいやこれほどカッコ悪うて怪しい言いわけもなかろう、グレゴールは五年勤める間病気になったためしがない。社長が健康保険組合の医者を連れて来て、両親をグータラ息子のこ…
小説 『ミネルヴァの梟』 【第12回】 御田 観月 解散か総辞職か。首相不信任案の信念を貫くためにも、たったひとり意思表明する構えだったが...... 日曜日のテレビ番組で、政権与党の森永総裁を支える中野幹事長と加田議員の一問一答の様子が生放送された。「森永総裁の至らない点は、お支えしている自分たちの責任でもある。同じ政権与党内で議論を尽くして、国民の負託に応える必要がある。そのためにはなんでもしよう」中野幹事長は加田議員に訴えた。「総理・総裁と今後のことを話す機会をつくる必要がある」加田議員は頑なな姿勢を崩さずにいた。「一両日中に話し合いの場…