【前回の記事を読む】死んでしまったら無価値のこの世界では何をしたって構わない?――生の意味を考える思考実験。
1.もしあの世がないとしたら、生きる価値はどのようになるか
1.3 命(意識)
津村:それでは進めますよ。この〝自分が自分であるのは奇跡的〟を軸として進めることを先に話しました。奇跡的な命は大事ですね。死んでしまったらなくなるし、なくなったこともわからない。それは、自分だけではない。他の人の命も奇跡的であり、死んでしまったらなくなる。人間だけでなく生き物全体が、そのような奇跡の集合で構成されています。
弱肉強食、戦争…… 奇跡的な命が、生物間の干渉で失われることが多くあります。失われた命、死んだ人や生物はうらめしく思っているでしょうか?
学生:先生の話では、死んだらなにも意識できないので、うらんでいることはないのではありませんか。
津村:そんな世の中(現実)において、いかに生きるか、いつかは死んでしまい無になるけど、若くして戦争でだれかに殺されてしまうかもしれないけれど、その奇跡的な命を十分に味わいたい。
人生の中で感じた思いは死とともに消え、その人にかかわった他の人間たちに伝わっているかどうかはわからないけれど、それでも、この奇跡的な命をいかに生きるのかを紡いでいきたいと思います。
1.4 本能
本能は生物が生きる上で重要である
しかし、その本能が副作用を起こしている
津村:まずはこの奇跡的な命はなにかをよく知ることです。私たちは何者であるかということから考えたいね。
学生:私たちは、人間ではないでしょうか?