神経研時代の私


   
仕事を始めてまもないある時、私は超スロースピードで考え考え訥々と話すせいで忙しい病棟看護師から「あまりにも話に時間がかかり言っていることも分からず理解不能で会話にならない」と叱責され落ち込んでいる失語症者と遭遇したことをきっかけに後日私のST人生を変えることになる大きなテーマに出会いました。

コミュニケーション専門職として何とかこのような方が流暢に話せる方法を探してお助けしたいと思いあぐねて相談したS先生は海外の文献検索方法を教えてくださいました。

この結果発見した技法こそ、神経研時代の私の活動を特徴づけることになったMelodic Intonation Therapy(MIT)という非流暢タイプの失語症者向け発話流暢性改善技法(1)だったのです。

インターネットが発展途上だった当時、現在のようなインターネット経由の文献検索ツールはほぼなく、諸外国で進行中の研究を国内で知ることが極めて難しい状況でした。

私が先生から学んだ方法は、研究所の図書室所有のその時点までに海外で発表された論文タイトルが掲載されているインデックスメディカスという分厚い本の中から論文タイトルを一つずつ追っていき、お目当ての論文を探し出すことでした。



(1)Albert, M.L., Sparks, R.W., Helm-Estabrooks, N.A. Melodic Intonation Therapy for Aphasia Arch-Neurol29 130 -131, 1973

 

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