【前回の記事を読む】今日の日を待ちに待っていた。妻の病があり、兄の死があった。どういう形であろうと受け入れる覚悟はしていたが、幸い、今日を…

第六章 2016年

2月11日(木):ブルックナー 交響曲第3番

今日は建国記念日、

バレンボイム・ブルックナーツィクルス第3日、昼公演であった。モーツァルトのピアノ協奏曲24番ハ短調、そしてブルックナーの3番ニ短調、“ワグナー”と呼ばれている交響曲である。

ピアノ協奏曲をバレンボイムは情熱的に弾いた。しかし音はあくまでまろやかである。その程度の印象記しか私には書けない。私はただ聴くだけの人間で、音楽について、楽器にも楽譜にも、何の知識も見識もない。

昨日2番、おととい1番、バレンボイムは譜面を見ながら振った。

今日は暗譜だった。

そもそも私は指揮者がどのように譜面を見るのか、あれが不思議である。見たい箇所へ瞬間にどうして視線が行きピントが合うのか。ぱっとめくるけど、どうしてめくる場面が分かるのか。本当は譜面があろうとなかろうと、全部アタマに入っているのではないか、そう思うのである。

私の前方の一画、それは1階右前方になるのだが、まとまった空席があった。空いた部分の前、つまり最前列、そして左右の通路側は、埋まっている。その中のアンコの部分が、ぽこっと空いている。決して悪い席ではない。普通に販売されたのであれば、このような空き方はしない。考えられるのは、まとめ買いをした、またそれのできる何者かが、そのチケットを利用しなかったことである。勿体ない話だし不愉快でもある。良い席で聴きたい人はいっぱいいるであろうに。

1番2番は、小澤征爾さんの指揮で1番を聴いたことはあるが、2番は今回が初めてと思う。

3番については、何度か聴いている。