私は長年にわたり、様々な分野の研究者や諸先輩方から教えていただいた知識や技術、体験談などを書き溜めたり、日本各地で開催されている研修会や学会に参加したりしてきました。そして、腑に落ちる考え方に出会うたびに、それを相談対応に取り入れることを繰り返しながら、徐々に自分なりの相談対応スタイルを築いていきました。
このたびそれをまとめて、「私が出会いたかった本」にすることを思い立ったのですが、読者の皆さんが日常的に使う言葉で、よく聞くような事例で説明することを心がけました。
事例については、私の体験や見聞きしたことを登場させ、その際にどんなことを感じていたのか、何を考えていたのかをお伝えし、その対処までを実感をともないながら読んでいただけるように記述しました。
また、その相談を解決へと導くプロセスについても述べていますが、人との関係性において誰もが応用できる思考方法であると思っています。それは、相手の現状を把握した上で、問題となっている部分とそれ以外を切り離して解決へのヒントを探り、相談者の主体的な気づきが得られるまで解決を急がず、ともに考える時間をも味方につけて最適解を導き出す、といったプロセスです。
そのため、これから相談を受ける仕事に就きたい人、既に就いている人はもちろんですが、人と接する仕事であれば、多かれ少なかれ求められるスキルに触れているものと自負しています。
なお、本書に登場する事例は、私が経験した様々な分野から、印象的であったものを紹介しています。ただし、守秘義務の観点から、実際にあった事例のエッセンスを可能な限り盛り込んだ架空事例であることを申し添えます。
この本が、読者の皆さんにとって、良い出会いとなることを祈っています。
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