細密画は2Hか3Hの薄い鉛筆でデッサンし、その上にH、HB、B、2Bと濃い鉛筆を重ねることで形や細かい陰影や単色の深みを出していく。同じデッサンだが濃さが微妙に違うので重ねると絵に厚みが出る。しかし、細かく根気のいる作業だ。

 

背景は3H程度の薄い鉛筆から2H、Hと重ね塗りし、HかHBからはハッチングという手法で線を重ねる。ハッチングは尖らせた鉛筆で紙を埋めるように細かい線を重ね、線と線の隙間を埋めるように線を引き、薄い線の上からB、2B、3Bと更に重ねる。

細密画は線描を使わず、色も形もトーン、つまり、単色の濃淡と陰影だけで表現するから手間も暇もかかる。日に二~三時間集中しても小さなバラの花一輪描き切るのに三週間から四週間はかかる。

毎朝言葉をかけたそのバラはボクが思うよりずっと長く生き、咲き続けてくれた。多分、三週間かそれ以上は咲き続けてくれたと思う。真紅のバラは花びらの一つ一つ、葉脈の一つ一つまで完璧に描けた。

 

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