育ち上がった木は広いウッドデッキの三分の一を占領し、このままいくとその重量で華奢な造りのデッキを潰しかねない。やがて、一人では動かすことも出来なくなり、結局、ボクの手には負えなくなった。考えたあげく、近所の植木屋に処分を頼むことにした。ボクとしては、丹精込めて育てた木だから植木屋という職業柄、どこか他に植え替えるところや再利用出来る場所があるのではないか、木を植えることを生業とする商売だから他に…
[連載]伊豆の御社
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小説『伊豆の御社』【第5回】ほそや まこと
―こんなつもりではなかった。育ち上がった木の処分を植木屋に頼んだら無残にも…
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小説『伊豆の御社』【第4回】ほそや まこと
消え去るひとりぼっちの男の記憶。 来歴不明、係累も辿れぬ男が生きた痕跡は、世界から消え去っていく。
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小説『伊豆の御社』【第3回】ほそや まこと
かつて目にした祠を目指してひたすら山道を歩く。何かを隠すように建てられた「立ち入り禁止」の看板。あの時目にした祠は一体...
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小説『伊豆の御社』【第2回】ほそや まこと
時々、ここが本当に元いた世界なのだろうかと考えることがある。狐に化かされたようだと思ったあのときの気持ちがふと蘇る。
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小説『伊豆の御社』【新連載】ほそや まこと
ボクの家はさほど街中でもないし過疎の田舎でもない住宅街の一画にある。家を出てすぐの緩い坂道を上ると空気の澄んだ日には左手に三浦半島、右手に伊豆半島が淡い紫色のシルエットを浮かび上がらせる