【前回の記事を読む】陽気なヨガ行者の講話の途中――手を挙げ質問する人々の背中にふっと光が灯った。ボクは日常でも予期せずゾーンに身を投じてしまう
不思議と出逢うところ ――ゾーン――
ゾーンに入ると見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずのものが聞こえたりする。そして、時間の感覚がなくなる。しかし、ボク自身はそれを当たり前の出来事と感じるだけで、それが起きたことにも気がつかない。
何が起きても不思議と感じないから、覚めたときにはそのとき起きたことが現実に起きたことなのか、夢であったのか、錯覚なのかわからない。時に白日夢か幻を見たのかと思い、時に自分の正気を疑う。自分にも、勿論、人にも説明がつかないから、結局、忘れるか、殆どの場合、初めからなかったことにしてしまう。
そのときもそんな感じでその日の記憶から削除した。だから、それがちょっと変わった超常体験であったことはずいぶんあとになって気づいた。多分、何日か、何週間か、もしかしたら、何ヶ月か経ってからだったかもしれない。
思い出したとき、あの光は巷でよくいわれるオーラだったのだろうと思った。しかし、しばらく経ってから、あれは人伝てに聞くオーラとは少し違うなと思い始めた。その後、何回か同じようなものを見てから、それが一般にいわれているオーラや、所謂、霊能者といわれる人たちがテレビで語るオーラの形とはやはり違うと思った。
ボクの見るそれは多重に重なる光の輪ではなくて、単色の、それも短命な輝きの瞬間で、人が手を上げたり、言葉を発したり、何かの動作をするたびごとにポッと灯り、そして、消えていく。
年齢に関係なく、男性の放つ輝きが概ね無彩色か寒色で、女性の放つ輝きが明るい暖色であることも巷でいわれるオーラの色とは違っている。何回か同じようなものを見るうちに、自分は人の波動を見ているのではということにふと気がついた。