青春時代の別れ

「もしもし、ミユキちゃん」。聞いたことのある声だった。思い出すことができずに戸惑う私に「私よ私、女子高で一緒だったY子よ!」。何十年振りかの高校の同級生からの電話。

それはKの訃報だった。その知らせを聞いても私の心は何も動く事はなかった。Y子は私にせめて最後にKのお見送りだけでもして欲しいと思い、彼女の優しさで色んな知人の伝手を使った末に私に辿り着いたと言っていた。

私の記憶はY子の電話で、過去に引き戻された。私の高校時代の若者達は60年代の後半に大流行したザ・タイガースとか、ザ・スパイダースとかのグループ・サウンズに夢中になったりしていた。また卒業の頃の70年代の初めには、フォークソングなども流行し始めていた。一方70年安保闘争や沖縄返還の運動など、学生運動も盛んな時代だった。

私とKとの出会いは、女子高と男子高の生徒会の交流会だった。この時、私の育った県は、殆どの県立高校は男女別学だった。男子高で生徒会長だったという彼を初めて見た時は、なんて大人っぽい人なのかと感じ、いつしかKに強く惹かれていった。

 

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