第三章 封鎖
「世界はH5N1新型インフルエンザで未曾有の危機に直面している。スペイン風邪を越える死者が出ており日本も徐々に感染が拡がりつつある。東京都心を封鎖せざるを得ない」とのテレビ、ラジオを通じて瀬戸崎総理から首都圏封鎖について重大発表があった。官房長官からは、封鎖エリアの範囲と機動隊・自衛隊による封鎖の具体的な方策が説明された。
都心にある黒木総合病院では、400人を超す感染者が入院し、178人が重症患者であった。封鎖エリア内の病院では感染者が殺到し、医療崩壊が起こりつつあった。都内での経済活動は、一部のスーパーやコンビニを除いてほとんどストップしている。都民の間で封鎖に対する不満が渦を巻いている中、瀬戸崎総理のさらなる協力の呼びかけが行われた。
第四章 拡大
WHOに勤める里美から優司に「スイスの研究施設で新しいワクチンの開発に成功し製造方法が世界に届き次第製造ラインが動き出す」との電話があった。東都大学の黒木准教授が、現在、製造を開始している新型ワクチンより治験データがよく、副作用も少ないパンデミックワクチンが開発された。WHOの緊急会議が開催され各国でこのワクチンを製造する動きが高まった。
エピローグ
新しく開発されたパンデミックワクチンの接種が予定より早くはじまった。最初に、医療従事者に、ライフラインを維持する人々にと次々に接種されていった。致死率が劇的に下がりはじめた。WHOのカオ事務局長が、今回のパンデミックの終息を宣言した。
【感想】
瀬戸崎優司医師をはじめ優秀なスタッフの活躍と国民を守るという強い信念をもって国民に協力を求める瀬戸崎総理大臣の存在に強く心を打たれた。世界が待ち受ける新型ワクチンが、短時間で世界に行き渡りパンデミックがめでたく終息する展開は、少し都合が良すぎる気がした。
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