のらぼう菜

 

春先になると我が家の近くの野菜無人販売所でのらぼう菜と呼ばれるアブラナ科の野菜がよく売られている。お浸しでもバター炒めにしても美味しくて私の好物だ。

関東地方ではポピュラーな野菜になりつつあるらしいが、この辺りのものは菅のノラボウと言われ、特に甘みがあり柔らかく人気がある。

今からざっと800年前の鎌倉時代、この辺り一帯を治めていた稲毛三郎重成の妻は北条政子の妹だった。彼女がこの地に嫁入りの際、姉の政子に持参するように勧められたのがこののらぼう菜の種であったと地元では伝わっている。

妻の死後、彼女の死を悲しんだ稲毛三郎重成は供養の為の善行として当時暴れ川であった相模川に橋を架けた。その落成の日に義妹の為に駆けつける途中、源頼朝は落馬しその後命を落としたと「吾妻鏡」にある。

そのあたりのエピソードはNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも放映されたからご存知の方も多いだろう。関東大震災の折、地盤の隆起で埋もれていたこの橋の橋杭が何本も地中から発見され国の史跡として認定され、先日その場所を訪ねてみた。確かに水面から鎌倉時代の記憶が静かに数本突き出していた。

稲毛三郎重成の居城であった枡形城は我が家から近い場所にある。又、重成の子の小太郎の小沢城跡は我が家の窓を開ければ目の前に見える。

 

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