閑話休題。

ついつい長い前置きとなったが、そうであれば軽音楽部かブラスバンド部にでも入るのかと思いきや、水泳部のチラシを見て「練習後にOB・OGたちからのおごりあり!」との一文に目がロックオンし、その天国のような部に入るしかないと思った。

かくも動機は様々であったし、クラスも別々だったが、3人は相次いで水泳部に入部した。

(1年後のことだが、深田と西尾が、入学式の日に水着姿になってチラシを配っているのを見て、白川は悲鳴を上げながら「もし先輩たちの水着勧誘を見ていたら、別の部に入ってた!」と叫んだ)

〈高校1年生〉

入学当初に夢描いた3年後の有名大学合格の青写真が、数学の第1回目の授業冒頭で先生から、「それでは、21ページ目を開いて。20ページまでは中学の復習のようなもんだから、飛ばします」と言われたり、初めての定期試験結果を見たりして雲散霧消してから、その傷心(ハートブレイク)を癒やすため、3人とも熱心に部活に参加するようになった。

同じ釜の飯ならぬ「同じプールの水をすする」ことで、仲間意識が知らず知らずに芽生えていき、大学生のチーフコーチ(OBの中の持ち回り式で年度毎に練習全般を仕切ってくれる)による指導の下、入部直後の陸上トレーニングを経て、GW開けから徐々に校内プール(25mプール・7コース)での練習に入り、夏休みは部活漬けの毎日を過ごした。

その夏休みの前半に行う校内合宿の小1週間がそのピークとも言えたが、泳ぎこんだ甲斐あって、近くの銭湯に行けば逆三角形の体型と日焼けくっきりの裸身で、それを見た浴客が水泳部員と見分けるくらいまでになった。

夏休みの最後を飾る第3学区都立高校対抗「十校戦」を迎えたが、インターハイ常連の有名私立高校と比べたら、月とスッポンどころか太陽と縁日のカメくらいに差がある都立の、

その中でも伝統的な弱小高校に属する3人であることに加え、深田を除いて入学までは体育授業や海水浴などでしか泳いだことがないこともあり、特に西尾は練習後の部活動(先輩のおごり)の方に熱心だったこともあり、

プールでの活躍は今一つ(今二つ?)であったが、プールサイドでの3人中心の声を枯らした選手応援は他校も感心するほどだった。

 

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