【前回の記事を読む】「年貢を納めるのはお前達の義務だ。できないというのは国に反旗を翻すのと同じだ」そう言うと、棒で農民達を容赦なく叩き付け…

魔女の涙

これにはサホンも動揺を隠せず、なんと不敬なことを言うのだと怒声を上げました。然し、ユンは先程とは反対に笑っていたのです。

「中々面白いことを言うではないか。お陰でこの者の普段は見せぬ顔を見ることができた。然し、余に向けて発したその言葉の重さはそちが誰よりも分かっているのだろうな」

ユンはこの時、占いを全く信じておらず、いずれヨウの虚言を証明し、王室を侮辱した罪を如何にしてその身に刻んでやろうとほくそ笑んでいたのでしょう。ヨウを返し、ユンは一旦何事もなかったかのように綺麗に忘れようとしました。

いつの間にか眠りに落ちていたユンは翌朝、目を剥き出しにし、内官達が心配する程の量の汗と共に目覚めました。水を持って来た内官に、呼吸を乱しながら親衛隊のジンを呼ぶように命じました。暫くするとジンが心配そうに駆け込んできました。水を飲み干し、ジンの顔を見たからかユンは少しずつではありますが、落ち着きを取り戻していきました。

「おぞましい夢を見た。謀反が起こり、内官や親衛隊に連れられて炎の中逃げているのだが、皆切られ、血を吐きながら倒れていくのだ。すると視界が開け、官服を着た者がこの世のものとは思えぬ程の不敵な笑みで立ちふさがっているのが分かった。

悔しいことにその顔は見えなかったのだが、怒りに任せてそやつを切り殺してやろうと倒れていた親衛隊の刀を取ろうとした。するとすぐ近くの地面から刀を持った腕が余の首を取ろうと飛び出してきたのだ」

ただ黙って聞いているだけのジンに続けて話します。