古代ギリシャ・ローマ文明と医学医療
西欧文明の発祥の地とされる古代ギリシャにおいても、当初の医療は「神頼み」が主体でした。主な崇拝の対象は医神アスクレピオス(図1-1)で、太陽神アポロンが人間の娘に産ませた息子です。
彼は優れた医術で多くの人びとを救い、ついには死者すらも蘇らせたため、冥土の神からの苦情で殺されてしまいますが、後に神の座に就きました。アスクレピオスのシンボルはお使いであるヘビが絡みついた杖で、世界保健機関(WHO)や欧米の救急車の(図1-2,3)など、現代でもさまざまなところで見ることができます。

1-1 古代ギリシャの医神アスクレピオス

1-2 世界保健機関(WHO)40周年記念のソ連切手

1-3 救急車のマーク(スター オブ ライフ)
古代ギリシャの各地には、この神を祀まつった神殿が建てられ、そこに多くの病者が集い、祈りを捧げていました。そこで彼らの世話をしていた神官たちが、医療についてのさまざまな経験を蓄積していく中で徐々に専門性を高め、史上初とも言えるような医師集団へと成長していったとされています。
やがて、コス島の神殿の一角に世界で最初となる医学校が開かれ、その指導者としてヒポクラテスの名が、現代にまで伝わっています。
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