バスは座れればそれで十分。日本だったら二人掛けのところに三人は平気で座ってくる。もっとも乗せるだけ乗せているので1、2時間立っている人もいた。

座れれば御の字だ。ただ、お年寄りが乗ってくると若者が立ち、お年寄りは当然のように座り、若者が1時間ほど立っていようが申し訳ない素振りすら見せない。2時間くらいでダンブッラに着く。車窓の景色は見飽きない。途中休憩があり、お菓子や飲み物を買ってくる人たちもいた。バスの料金はたぶん50円くらい。

ダンブッラからは高くても三輪車に乗るしかない。ホテルの場所も見当がつかないので、もし近くてもどうにもならない。ホテルまで連れて行ってくれるので、気楽に乗っていればいい。30分乗って1000円弱。日本なら相当に安いが、現地の物価に慣れた身にはものすごく高く感じられる。乗っている間、予定は決まっているのか、ボタニカルガーデンに寄らないか、象は見たくないか、ボートに乗らないかと売り込みが激しいのはご愛敬だ。

ホテルはシギリヤロックに近い個人経営のホテルだ。ブッキングドットコムで予約した。1泊3000円くらい、それに税金や飲食代が別にかかる。周りに何もない静かな森の中で、庭がきれいに作られている。まだ若いオーナーが1年前に始めたばかりだ。3歳くらいの男の子がいて、私にはちょうどいい遊び相手だった。テレビもないので夜はスマホを見るか、寝るしかなかった。Wi-Fi環境は良好だ。

ここでもハーブガーデンに行かないか、象を見に行こう、湖でボートに乗らないかと売り込みがあったが、あまり興味がない、のんびりしたいと断った。夕方シギリヤロックが見える隣の岩山ピドランガラに登ろうかとも思ったが、土砂降りの夕立が来たので、この日はもうどこへも出なかった。

5月9日

朝ごはんは7時。きれいに並べられたたっぷりのフルーツと、オムレツ、パンが5、6枚、ジャムとバター付き、それにポットにいっぱいのコーヒー。テラスで庭を見ながらの朝食は最高。スリランカは日本と同じように煮干しのようなものでだしをとる文化があるので、料理は日本人好みで何を食べてもおいしい。

シギリヤロックは9時から入場できるので、少し早めの8時半に歩いて出発した。ホテルの人はせめて自転車で行けと言ったのに、強情にも徒歩を敢行した。しかしもう少しというところで野犬に囲まれ、あえなく敗退。三輪車で正門まで行って、帰りも三輪車に乗ることになった。足元を見られてバカ高い乗り物になってしまった。ホテルの人に送迎を頼めばよかった。  

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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