保険適用ではない免疫治療は危ない
未だに保険外診療で、「がんワクチン」や「Tリンパ球輸注療法」を希望する患者さんがいます。効果も安全性も証明されておらず、治療費は患者さんが全額支払うことになります。その治療による副作用に対する治療も公的医療保険の対象にはなりません。
保険医療機関では保険診療と保険外診療の混合診療は基本的に認められませんから、保険外診療を希望であれば標準抗がん剤治療は受けられないことになります。治療方針の決定にあたっては、患者さんとご家族には十分慎重になってほしいと思っています。
【腫瘍内科医のつぶやき】――「ノーベル賞のくすりで治して」――
本庶佑先生は、免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用で2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。「ノーベル賞のくすりで治してください」という表現をする患者さんもいます。
免疫チェックポイント阻害剤で、まるで良い波に乗ったサーファーのように調子よく長く過ごすことができる患者さんもいる一方で、この治療をしたばかりにがんの進行が急激に早まったり、重篤な副作用が出てしまう患者さんもいます。
この治療薬の効果が表れやすい患者さんであることを示す「効果予測マーカー」や重篤な副作用が出現する可能性を示す「副作用出現予測マーカー」などの開発が今後の課題として残されています。
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