【前回の記事を読む】【ビジネス】「家賃と人件費」が補助対象経費になっている補助金!? 他にも、ものづくり補助金など、使えるケースや特徴とともに解説
第3章 あなたに必要な補助金
田舎を盛り上げたい起業家の皆さん(農山漁村振興交付金)
現状
あなたは秋田県のとある地域で町おこし活動をしている人です。地域に眠っているお祭りや伝統工芸品、特産品などをPRして、町に人を呼び込む活動をしています。現在は地元組合の活動に参加する形で関わっていますが、3年以内に起業を考えています。
大学は東京に出て、就職の関係で地元に帰ってきたあなたは、地域に住んでいる人が見落としている地域の良さを感じています。商店街の方や、地域の人々に参加してもらいながら、地域一丸となって町おこししたいと考えています。
今後の戦略
地域での町おこし活動を通して地域の方々にアンケートを取ると、すでに廃業し空き家になっている銭湯を活用して町おこしをして欲しいと答える方が多い結果となりました。もともとは100年近くも町のシンボルとして親しまれてきたからです。
その銭湯から車で30分圏内には、観光雑誌に掲載されるような有名観光地がいくつもあり、そこからお客さんを呼び込めば地域に足を運んでもらえることがわかりました。この地域では、昔ながらの伝統的な製法で漬物を生産しています。この漬物は東京首都圏の日本酒居酒屋など、酒好きの間で根強い人気があり、うまく卸売先を見つければ収益化できそうです。
今後の戦略として、まずは町おこしの方向性を地域の関係者と共有すること。次に、特産品の販路を開拓して、収益を生むこと。最後に、有名観光地から観光客を呼び込む施策を考え、同時に観光客が楽しめるようなレストランや体験施設などを整備することを考えています。
使える補助金
農林水産省が扱っている農山漁村振興交付金(農泊推進対策)という補助金があります。これは、地域の関係者で構成される協議会という任意団体をつくり、協議会の代表として地域の活性化を行う取り組みを支援するものです。
廃業した銭湯のリノベーション費用や漬物の良さを伝えるためのプロモーションビデオの撮影、地域住民の意見を聞くためのワークショップの開催費用、特産品を使った新商品の試作品開発費用など、多くの取り組みを行うことが可能です。しかも補助金は最大2年間受けることが可能なので、時間をかけて地域の協力を得ながら進めることが可能です。
リノベーション費用は50%補助ですが、プロモーション費用や特産品の試作品開発費用などは、なんと100%補助されます。これを定額補助と呼ぶこともあります。つまり、100万円を使ったら100万円が補助金として戻ってくるわけですね。一般的に地域で町おこしを行い成功させることは非常に難しいと言われています。