僕の震える心、屈辱に動揺する心にもうもうと立ち込める塵ちりを、彼は静めてくれる――僕たちはクリスマスツリーのまわりで踊っていた。みんなが僕にプレゼントの包みを渡し忘れていると、太った女性が『この子にはプレゼントが無いね』と言って、ツリーのてっぺんから輝く英国国旗を取ってくれた。

僕は怒りに震えて泣いた――こんなことを思い出して哀しくなったんだ。今、すべては彼の威厳、彼の十字架によって静められる。そして自分の下には地球があり、僕の根が下へ下へと延び、やがて地球の中心にある何か硬いものに絡みつくという感覚に襲われるんだ。

彼が朗読するにつれ、僕は一貫性を取り戻す。行列のひとり、巨大な車輪の輻(や)の一本になる。そして車輪が回転するにつれ、ついに垂直に立つんだ、今、ここで。僕は暗やみの中にいた、隠されていたんだ。

でも(彼が朗読するにつれ)車輪が回転すると、このほの暗い空間に立ち上がっていく。そこには、ひざまずく少年たち、柱、そして真鍮記念碑が見えるだけだ、それもかろうじて。ここに粗野な振る舞いは無い、突然のキスも」

「あの冷酷な男が僕の自由を脅かすぞ」

ネヴィルは言った「祈りながら。想像力の血が通っていないから、彼の言葉は舗石のように冷たいまま僕の頭上に落ちてくるんだ。おや、金色の十字架がチョッキの上で呼吸に合わせ上下に動いているぞ。威厳ある言葉も、それを話す人次第で台無しになってしまうな。僕はこの悲しげな宗教をあざけるんだ。

臆病で悲嘆に暮れる人影が、青ざめて負傷したまま、イチジクの木が影を落とす白い道を進んでいくなんて話はばかばかしい。道端には、少年たちが砂埃にまみれ、手足をだらりと広げたまま寝ているぞ、裸の少年たちが。

そして居酒屋の扉には、ワインを入れて膨らんだヤギの革袋がぶら下がっているんだ。復活祭の頃、お父さんとローマに旅行したことがあったな。キリストの聖母像が、震えて頭を縦に振りながら通りを練り歩いていたっけ。傷ついたキリスト像も、ガラスケースに入れられたまま通り過ぎていった。

「太ももを掻くふりをして体を横に傾けてみよう。そうやってパーシヴァルを見るんだ。いた、他の生徒から抜きん出て、背筋をまっすぐ伸ばして座っているぞ。鼻筋の通った鼻で、かなり深く呼吸しているな。

その青くて奇妙に表情のない眼は、まるで異教徒のような無関心さで向かいの柱を見つめているぞ。きっと立派な教区委員になるんだろうな。樺(かば)でできたむちを持ち、行儀の悪い小僧たちを打ち据えるんだろうな。」

 

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