すなわち、生物学的な死という絶対な事実も、様々な立場から様々な解釈=意味付与がなされるということでしょう。

ある人にとっては「すべて終わり」という物語を早々に作って、この世での新しい生活をスタートさせるのでしょう。「私は過去より、未来が大事」などと言いながら……。

しかしながら一方では交通事故や不慮の事故で愛する人が亡くなった場合などは、その死を受け入れるより、その死に新しい意味を付与して「その人」が生きる道を選択するかもしれません。「あなとは、いつも、どこでも一緒だよ」などと言いながら……。

このように、我々は一見事実を生きているようですが、実は「自らが作り上げた意味づけされた世界」を生きていることが分かります。


1) 介護保険制度の在宅サービスの一つ。特養などに短期間入所(滞在)し、介護者の負担軽減を図る。

2) ガーゲン夫妻は、「社会構成主義」の研究者。ケネス・J・ガーゲン メアリー・ガーゲン (伊藤守監訳 二宮美樹 翻訳統括)「現実はいつも対話から生まれる」ディスカヴァー・トゥエンティワン 初版2018年。この本は入門書として大変分かりやすい。

3) ガーゲン他 前掲書 p.20。

4) ガーゲン他 前掲書 p.21。

5) 森岡正博 「生者と死者をつなぐ~鎮魂と再生のための哲学」春秋社 初版2012年 p.10。

   

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