【前回記事を読む】【阪神タイガース・岩崎優投手】フォームを徹底分析! 小さなようで大きな工夫。ポイントは「右足が一直線」

ピッチャー編

(1)岩崎 優投手……バッターに「より短く」投げる

「垂れない」ボール

右足を一直線にすることによって、蓄えることができた前に行く力を、右足に乗せて接地しますが、右肩が開いていないので、力を損なうことなく、前にぶつけていくことができます。そのことでボールに前への推進力がはたらくとともに、相乗効果も生まれます。それが2つ目のメリットとなります。それはボールが「垂れない」ことです。

バッティングで言えば、ボールにコンタクトした後の「フォロースルー」に当たりますが、ピッチャーにおいても「リリース」後の「フォロースルー」は重要です。右足を一直線にすることで、右肩を開かないようにしているので、せき止めた力を損なわず、大きな力を保持することができますが、接地した右足を支えにしてボールを「リリース」して放出した後にも、その力の余韻を充分に体に伝えることができます。

右足を接地して、力を前に持っていきますが、接地面からのその反動を縦方向に受けることになります。更には右足だけでは支えきれませんので、左足にも波及していきます。ボールの「リリース」後、右足や左足がはねるように起き上がる動作がそれに当たります。

その力でボールを切る力が増します。ストレートで言えば、ホップ傾向のボールを投げることができますので、バッターの思い描く軌道とは異なる軌道を得ることで、バッターを抑えやすくなります。

右足で力を支えることやその力の余韻を上手く「リリース」後の「フォロースルー」につなげるにあたっては、クッション含めて右膝によるところが大きいので、負担はもの凄く掛かることになります。岩崎投手はそのようなリスクも取り込んだ、凄みのある「ピッチングフォーム」の構築をしています。

(2)戸郷翔征投手……バッター泣かせの複合技を駆使

続いては、巨人の戸郷翔征投手です。

戸郷投手は2018年のドラフトで読売ジャイアンツから6位指名を受け、聖心ウルスラ学園高校から入団しました。2019年シーズン終盤で初勝利を挙げると、クライマックスシリーズ、更には日本シリーズにも登板を果たし、1年目から鮮やかなデビューを果たしました。

翌2020年シーズンには、先発ローテーション入りを果たし、2022年シーズンはリーグ2位の12勝で自身初の2桁勝利を挙げるとともにシーズン154個の三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得しました。