「でも、僕は映画の中の青年の少女への愛にも劣らない程の愛を、君に持っているつもりだよ」

僕は言った。

時間が許す限り一緒にいると言う二人の約束は破られる事はなかった。

僕が家業を終えて部屋に戻ると、アンナが晩御飯の準備を終えて待っていた。ビーフシチューと赤ワインだった。

僕はまずワインを飲み干し、それからビーフシチューを味わった。アンナの手が触れた人参やジャガイモ、ビーフかと思うと、胸の内からぽかぽかと温かい気持ちが溢れて来た。僕は恍惚の表情を浮かべ、アンナから笑みを指摘されて恥ずかしくなった。

今日の仕事は抗争の時に必要となる銃の仕入れで、拳銃と猟銃を扱う店へと出向いた。

僕はまずブツを受け取り、本数と型番が注文と合っているか確かめた。その次に状態を確かめた。問題ない事が分かって金を置いて店を出た。ブツは月極のコンテナに仕舞った。

僕はこの仕事をしていると頭が痛くなる。この黒い仕事が僕の身体に合わないのだ。社会の端っこの隅っこで生きる僕たちのこの仕事は、生きる資格がない者のものと自覚していた。

頭痛の中、アンナと二人きりの世界にいたいと思いながら家へ帰ったのだった。

「ごちそうさま。アンナ、とても美味しかったよ。また作ってね」

ビーフシチューを食べ終えて、僕はベランダでタバコを燻らせた。吸い終えると、アンナを抱いた。

 

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