「お前といつまでも寄り添えるのが僕の幸せなのさ。僕はずっと夢見ていたんだ。君の様な女性とありきたりの生活を送る事を、お前にあの日会うまでずっと考えていたんだ。愛し通すと誓うよ。神が僕たちが一緒にいる事を許してくれるのであれば」
僕たちは毎日愛し合った。
或る日、僕たちは映画を観にいった。恋愛映画で、大自然で育った少女が働きに都会へ出て、同じく大自然で幼少期を過ごした青年と恋をすると言う内容だった。僕たちは映画館で号泣し、クライマックスで接吻した。
「主人公、まるで貴方の様な好青年ね。リィド」
「僕は、映画の中の青年程の純粋さなぞ持ち合わせてはいないさ。生憎の性(さが)だよ」
アンナには分かっていた。リィドが家業とは裏腹に水の様に透き透っていて、お日様の様に温かい心を持っている事が。
リィドと同じ時を過ごしていく中で、彼女はリィドの良い面も悪い面も見透かしていた。
悪い面は洗濯物がだらしない事。寝付きが悪く、寝言を言う事。タバコを吸う事。
良い面は私を大切にしてくれる事。一緒に料理をしてくれる事。さりげない仕草に優しさが溢れている事。寝る前私に接吻してくれる事。私の事を何よりも好きだと言ってくれる事。
彼が私を大事にしてくれる様に、私も彼を大事にしていた。