この言葉で、原田の脳裏には幽霊の吉村の顔と言葉が蘇った。
『今度は福井がおまえを殺しに来る』
原田は頭の思考能力がなくなったような気がした。そして、カバンから刃物を取り出すと、自分のカバンに手を伸ばす福井の腕にその刃を差し込んでいた。
「原田……おまえ……なにするんだ!」
原田は目を剝く福井の腕から刃物を抜くと、今度は福井の胸に刺した。二度、三度、原田は福井の胸に刃物を立てると目の前に崩れていく福井から逃げるように走り出した。
(俺は……俺はいったい……何をやっているんだ……)
原田は血まみれの福井から離れるために、無意識に駅に向かっていた。
(電車に乗って、少しでも遠くに……)
改札を通りホームの隅のベンチで体を震わせていた原田の肩を、不意に叩く人物がいた。
「今村……」
原田は見覚えのある顔と『殺しに来る』と言う吉村の顔がダブって見えた気がした。そんな原田に、今村はデジカメを見せて言った。
「この中に、おまえが田端と福井を殺す映像が入っている」
「え……」
うつろな目を向ける原田に今村が薄笑いを浮かべて言う。
「なんで? って顔してるよな。それは、おまえも知っている幽霊の吉村が俺に教えてくれたんだ。ここに行けば原田が人殺しをする特ダネが撮れるってね」
「吉村が……」
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