1.もしあの世がないとしたら、生きる価値はどのようになるか

1.1 もしあの世がないとしたら

   

あの世があるとは、誰もわからない

もしあの世がないとしたら

    

学生:先生! なんなのですか、この本のタイトル、〝もしあの世がないとしたら〟とは……。 天国も地獄もあると思っている人は多いし、「亡くなった祖父母やご先祖さまがあの世から見守ってくれている」と聞かされて育った私も、あの世はあると思っているんですけど……。

津村:はい。〝あの世〟があると考えて、いろいろ良く生きることは私も良いことだと思います。ただし、あくまでそれは複数ある世界観の一つであることは忘れずにいなければと思います。

学生:〝世界観の一つ〟? 先生は〝あの世〟がないと思っているのですか?

津村:残念ながら私は死んだことがないので、わからないですね。死んだ人がこの世に影響を与えるかのような話で、〝あの世〟があるかのような説明を聞きますが、どうも理系的なエビデンス(証拠)としては、弱いのです。

学生:先生は、天国や地獄や極楽浄土などの〝あの世〟がないと思っているのですか?

津村:実は、高い確率で〝あの世〟はないと思いますが、まだ死んだことがないので、〝あの世はないのでは?〟と疑問形で考えています。

学生:あの世があると信じている方々から、総スカンを食らわないように気をつけて、〝したら〟といった仮定のタイトルにしたのですか?

津村:その通りです。自分にいかに信念があったとしても、自分とは異なる考えを持つ方にも何も響かないとしたら、ちょっと寂しいではないですか。それで、あの世があると信じる人にも、そうでない人にも考えてもらえるように工夫したのです。