そしてあまり好きではない人、言葉の荒い人などとのコミュニケーションは苦手です。

求職相談をしていて希望の職種を聞くと「お給料はまあまあよくて、休みが多くて、人間関係のよいところ」と答える若者がいます。それは職種ではなく条件ですが、前の二つはともかく「人間関係は入ってみないとわかりませんからねー」とお茶を濁します。

多分この人間関係のよさとは、自分にとってやさしい人間関係を言っているのだと思います。やさしく育てられ教えられ、そうではない環境の免疫がないのかもしれません。気になることを言われても、嫌いな人とでも、シャッターを閉じたり妙な攻撃をしたりせず、妥協点を見出すように話し合う技術など教えてもらっていません。

長時間労働は言わずもがなですが、「もうつらいです」「何とかなりませんか」と言えたら、少しは変わっていたかもしれません。

辞めたい、でも辞められない

「そんなに具合が悪くなってまで、働かなくてもいいんじゃないの?」という話ですが、お金のこともあるでしょうしいろいろな事情もあるでしょう。メンタルクリニックを受診し休職を勧められ、社会保険の傷病手当の説明を聞いてほっとする人もいます。

しかしまた、休むということに心理的な抵抗を示す人も少なくありません。仕事が片づいていない、他のスタッフに悪い、迷惑をかけると言ってためらいます。

中堅の人が病気で休むことを勧められるとほぼ「仕事が……」と言ってためらったり拒否したりします。実際にその人がいないと大変なのかもしれませんし、仕事がその人の存在証明のようになっているのかもしれません。

しかしつい最近入社した若者に関しては、それほど迷惑がかかる仕事が与えられているとは考えにくいのです。多分、入社してすぐこんなことで休むなんて許されないと思っているでしょうし、ダメな奴だと思われる、辞めさせられるのではないか、いろいろな不安が湧き出ていることでしょう。

仕事に就いてすぐは誰でもそう感じていたのではないでしょうか。(いいところを見せなくちゃ)と思っているかどうかはわかりませんが、端からダメだと思われたくはありません。

【前回記事を読む】「不当な不当感」を抱く若者。自己防衛の意識は強く、仕事の進捗を聞いただけでパワハラと認識されるケースも。

次回更新は2月15日(土)、8時の予定です。

 

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