第一章 認知症におけるEQ

子どもの非認知能力

次にこの認知能力、非認知能力の2種類のスキルがお互いにどういう関係にあるかも調べられました。

非認知能力である社会情緒的スキルの高い子は、認知能力のスキルも併せて高くなる傾向があります。忍耐強さや動機付けなどのスキルが認知機能の学習においても有利に働くわけです。この結果はなんとなく経験的に納得できます。

次に逆の場合についても調べられました。認知能力の高さも、さきほどの非認知能力の時と同じように社会情緒的な非認知能力を自動的に高くしたでしょうか? 

やはりと言いますか、認知機能のスキルの高さは翌年の社会情緒的スキルに影響を及ぼさないことがわかりました。つまりテストの成績が良い子が、必ずしも高い非認知能力を持つわけではないことがわかったのです。この結果は、学校の成績が必ずしも社会的な成功につながらないという私達の経験則を証明した形になりました。

このように教育、そしてビジネスの分野で人間の能力の研究が進められてきたわけですが、現代では人間の能力を判断する材料としてIQやテストの成績だけでは不十分であることが明らかになり、人間の本来の才能を人生に生かすために、もっと新しい視点が必要なことがわかってきたのです。