「今までやってきたことは、みんな効果がなくて、お前も具合が悪くなるばかりだった。本当に申し訳なかったと思っているの。私も勉強不足だったのよ。本当にごめんなさい。

見ているだけで、子供のために何の役にも立てないことは辛いものなの。辛くて苦しくて、もう死ぬしかないという気になってしまっていた。学校の先生も、お医者さんも、あすなろの人たちも、みんな優しく、親切に惜しみなく力を貸してくれたわ。

みんなで助けてくれたわ。でも知数、優しさに甘えるのは楽だけれど、それってきっと間違っていたと思えてきた。結果が悪くなるだけだもの。人に頼るのを止めて、自分で決めなくてはダメだと、やっとわかってきたのよ。

知数、自分たちで考えて、自分たちで決めて、やってみましょう。どうせ死ぬことまで考えたんだもの、もういいわ。お前に私の命をあげても少しも惜しくなんかない。

それに私が生んだ命だもの。私が命をかけてお前のために考えてあげるのは当然なのよ。知数、二人でよく話し合って考えましょう。そして自分たちで決めましょう。世の中で解決が不可能なんてことがあるはずないもの。

解決できない時は、自分たちがまだ本当のことに気付いていないだけだと考えるべきなのよ。失敗したっていいじゃない。何度だって二人でやってみましょう」

布団がかすかに動いた。うっうっと嗚咽の声が漏れてくる。知数本人も悩み、苦しみ抜いていたのだ。ただ寝ていただけではなかったのだ。

どんなに布団にもぐっても、限りなく広がっていく不安や闇に苦しめられ続けていたのだ。それに実知は気付かないで、苦しいのは自分の方だと考え込んでいた。自分の鈍感さに気付き、実知は息を飲んだ。熱いものが込み上げてきた。

「知数、ごめんなさい」

実知は布団の上から知数を抱き締めて泣いた。涙が限りなく流れた。