長期修繕計画は絵に描いた餅?

男性は、中古マンションを購入することを決めた。仕事が忙しいので、売買契約はできるだけ手短にお願いしたいと不動産会社に依頼した。

不動産会社から、3月10日、13時から重要事項説明、14時から売買契約を締結するので、2時間程度で終了するという話があった。それくらいならなんとかできる。

契約当日、男性はぼんやりと重要事項説明を聞いていた。紙に書いてあることを延々と朗読している。何かの儀式のようだ。しかし、これは法律で決められていて、全部読み上げなければならないというのだから仕方がない。説明が後半になって、管理に関する説明に移る。

すると、今までの朗読が突然中断された。「後で、こちらの書類を確認しておいてください」目の前に書類をどさっと置かれた。

管理規約や長期修繕計画というタイトルが付いている。長期修繕計画は一見したところ、ただの数字の羅列であり、何が書いてあるのかよく分からない。

「この表は説明してもらえないのですか」不動産会社からは「長期修繕計画があるのだから安心ですよ」との返事がある。答えになっていない。

本当に、長期修繕計画があれば大丈夫なのか、積立金は足りているのだろうか、買った後に大幅な値上げがあるとか、お金がなくて修繕できないなんていうことになると困る。不安が頭をよぎる。

「それでは、売買契約書にご捺印ください」売買契約書が広げられる。もう待ってくれとも言えないし、断ることもできない。男性は逃げようのない雰囲気にのまれたまま、実印を取り出した。

長期修繕計画を見たことがあるだろうか。将来の20XX年にどんな工事をいくらで実施するのかを一覧表にしたものである。長期修繕計画は、国土交通省がその作成方法をガイドラインとして示している。多くのマンションはこのガイドラインに沿って作成している。

さらに、この長期修繕計画に基づいて、いくら積立金を積み立てていけばよいかを計算して表にしたものが、積立金計画だ。長期修繕計画と積立金計画を合わせて、長期修繕計画と呼ぶ場合もある。

【前回記事を読む】修繕のできないマンションと、日本の年金制度の共通点:あてにしていた次世代の不足

次回更新は1月31日(金)、8時の予定です。

 

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