はじめに
日本語の「管理」という言葉の響きには、上の方の立場から全体を見回して、下にいる人々の行動を監視しているかのような、そんなイメージがある。管理という用語を説明するときに、ひと昔前の社会主義国において国家が人民を掌握しようとした例を出す人もいる。
「マンション管理」という言葉でも同様の印象を持たれることがある。
しかし、マンション管理では、誰かが上位にいるわけではない。何を決めるのも合議制だ。また、居住者の情報は強制的に収集できたりはしない。個人情報などはすべて任意提出だ。
マンション管理は極めて民主的な考えに基づいて運営されているのである。この現実の世界と「管理」という用語のギャップにいつも違和感を覚えている。
では、「管理」と呼ばないなら、なんと呼ぶのが適当だろうか、うまい言葉が見当たらない。たとえ、適切な言葉が見つかったとして、脈々と使用されてきた「マンション管理」を今から別の言葉で置き換えて、広く使用されるようにすることは難しいだろう。 私はこの違和感を、これからも抱えたままでいるしかないのかもしれない。