高垣は、ドバイへ行くために秘書へ、アラブ首長国連邦大使館に行き、八番目首長国アブサイクルの王子より先日お目にかかった時にご招待を受けているのでどのようにすれば良いかを聞いて来るように指示した。
秘書は直ぐ飛んで行き時間をかけず戻って来た。そして既に王室から在英国の大使館へ指示が届いて有り、アラブ訪問の話が来たら訪問の希望日を聞いて直ぐ連絡を入れろとの事で早くアラブ訪問日を頂きたい、と言われた事を高垣へ伝えた。
高垣は週明け火曜日以降なら何時でもOKなので二泊三日程度の予定を考えている、先方王室側のご都合を聞いて、その場で決めて良いから決まり次第ドバイ行きの切符を手配するように再度指示した。
再び大使館へ行って直ぐ戻って来た秘書が困惑した顔で高垣に「訪問は来週火曜日で決まりました」と伝え、さらにフライトについては王族のプライベートジェット機を待たせて置くのでご希望の時間に来て欲しいと強く言われた事を話した。
高垣はそれで秘書が困った顔をしていたのかと納得し、甘えて火曜日の午前十時に空港に向かいますと、秘書に丁寧にお礼を言って伝えるように行かせた。
高垣は直ぐに翔に訪問の日時を伝え、行く用意をして空港へ九時過ぎに着くように一緒に行こうと話した。直ぐ翔は、「手土産を如何しましょうか?」と聞いてきた。高垣は、「そうだな、何でも持っておられるからな……」と考えていた。
翔は、「昨日日本からの出張者が日本橋屋の羊羹を大量に持って来ていたので、其れを拝借しますか?」。高垣は、ニヤリとし、「其れは良いな! 直ぐ羊羹を押さえろ!」と指示した。
火曜の朝、すっきりした青空で翔は八時過ぎに小さなキャリーバッグに黒のミニボストンを引っ掛けて会社に着いた。
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