その少しあと、僕の好きだった笑顔の素敵な女の子が、親の仕事の関係で転校するという。クラスで一番好きな子が、どこか知らない遠くに行ってしまう。突然のことで、僕は呆然とした。
三学期の終業式の日だった。そして、その女の子と会うことができる最後の日と思われた。好きだった女の子は、「ジョニー、ありがとう。これはジョニーに」と言って、手紙を僕に手渡した。
僕も「ありがとう」と、一言だけ言葉を発した。
僕は家に帰り、自分の部屋に入り手紙を開けて読んだ。小学校二年生とは思えない綺麗な字で、便箋一枚にびっしりと文章が書いてある。
一緒に遊んだ時の思い出は忘れないということ、僕の笑顔が好きだったということ、運動が得意で算数の計算が速かった僕に憧れていたこと、などが書かれていた。初めてもらったラブレターだった。
母に「転校する女の子から手紙をもらった」と言った。
母に「どんな内容の手紙なの? 見せてよ」と言われたが、手紙は見せなかった。
「どうすればいいかなぁ?」と対応を相談。
「それは、すぐにお礼の手紙を書いて返した方がいいわよ」と言われた。
その通りだと僕は思い、その女の子に手紙を書くことにした。しかし、何を書けばいいかよくわからないで、手紙は完成しなかった。そのまま二度と話すことも会うこともなかった。
僕の初恋の思い出、少し後悔の気持ちが残った。