近づけばくろくおほきな鯱なりき
母子なるらし背びれ振りあふ
見るからに鯱の母子の羨しけれ
潮ふき合ひつつ遠ざかりゆく
河骨の黄金の花の茎だちて
湖のほとりは花明りする
*河骨 スイレン科の多年草。知床二湖にて。
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
近づけばくろくおほきな鯱なりき
母子なるらし背びれ振りあふ
見るからに鯱の母子の羨しけれ
潮ふき合ひつつ遠ざかりゆく
河骨の黄金の花の茎だちて
湖のほとりは花明りする
*河骨 スイレン科の多年草。知床二湖にて。