3 人的資産と金融資産をセットで管理する
人的資産が安全資産と考えられる期間は、安全資産としての金融資産は多くは必要ではありません。
成人期の方は、将来にわたって収入を生み出す最も安全な資産が自分自身であり、安全資産としての人的資産の価値は大きいと考えられます。金融資産の中で、株式等のリスク資産に配分できる比率を高くできる時期と考えられます。
低リスクの人的資産が豊富に存在する時期は、金融資産を株式等のリスク資産で運用することが可能です。この考え方が金融資産の中で、リスク資産と安全資産を、どの程度の比率で持つべきかを決めるヒントになります。
中年期は、安全資産としての人的資産の価値が大きいので、給料等の収入から株式等のリスク資産への配分を増やすことができます。老年期には、働いて収入を生み出せる期間は少ないので、人的資産の価値は小さくなっています。
働いて稼ぐ期間が短くなり、人的資産の価値が減少するにつれて、安全資産としての金融資産の比率を高める必要があります。
完全に退職された方は、給料等の収入はなくなりますので、公的年金等に加えて、金融資産を少しずつ引き出して生活費に充てます。
安全資産としての金融資産のウェイトを高めなければならない理由です。ライフサイクルの段階ごとに、人的資産と金融資産の組み合わせの枠組みで捉えます。
4 人的資産の特性を見極める
金融資産の中で、リスク資産と安全資産に対する資産配分は、自分自身の人的資産の特性を考慮に入れるべきです。
プロスポーツの選手のように、毎年の収入が大きく変動する可能性が高い職業の場合では、人的資産は高リスクの資産といえます。金融資産の資産配分では、相対的に安全資産を多くした方が全体のバランスが良くなります。
失業リスクの小さい収入が安定した職業で、将来にわたり収入が保証されている場合は、人的資産は低リスクの安全資産です。年金支給開始時期の65歳まで、雇用が保証されている方の人的資産も、低リスクと考えられます。
収入が安定している職業では、金融資産の資産配分は、株式等のリスク資産を中心にした方が、バランスの取れた配分といえます。
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