ドリームアイのチケットが当たったと惟子から連絡があったからだ。ただ、当選権利を譲り受けてドリームアイの予約を実際に任されたのは仲山だった。クリスマスイヴに当選しました、というメールを受け取ったのもだ。抽選なので日付指定はできなかったが、仲山はそれを不思議には思わなかった。クリスマスイヴという混雑する日に当選したことを、運がよいと思っただけだった。それは、他の乗客も同じことだろう。

もし仲山と同じように当選した人々が喜んで今日集まったのなら、十二のゴンドラに乗っている人物達は共通点を持っていることになる、と仲山は推測した。

何か人から恨みを買っていて、ゴンドラを落とすことでそれは晴らされる。故に、『小人』は全員を殺す気なのではないか、と。

これは難しい、と仲山は心の中で舌打ちした。怨恨(えんこん)目的の犯人は捕まることを恐れないことが多いものだ。それよりも恨みを晴らすことを優先するタイプなら、最悪全てのゴンドラを今すぐ落とすことだってできる。刺激しすぎてはいけないと、これからの交渉の難しさに仲山の顔は自然と険しくなった。

『私と話した内容を含め、全ての事実を警察に余すことなく伝えるんだな。君は、私と警察を繋げるための交渉役だ』

「……何かのゲームのつもりなのか?」

すぐにゴンドラを落とさないことに意味はあるのだろうと、仲山は推測した。運命という言葉にも。

仲山は、これからそれを探し当てなくてはならないのだ。『小人』は質問に答えずに要求を続けた。

『次もこちらから連絡する。つまり、君の言う通り、タイムリミットはクリスマス当日になるまでの約十一時間だ。更には君らの動き、会話は全て私が聞いている。予期せぬ不自然な動きがあった場合は、通達なしに制裁(せいさい)を加えていく』

「制裁とは、まさか」